後輩の指導を任せる前に、2年目・3年目が身につけておきたいこと

4月に新人が2人入ってくる。指導役は、入社3年目のBさんに任せることにした。
Bさんは仕事ができます。お客様からの評判もよく、締め切りも守る。ところが5月に入って、新人の様子を見に行くと、2人とも手持ち無沙汰にしていました。Bさんに聞くと、「何を教えればいいのか分からなくて。とりあえず横で見てもらっています」。
仕事ができることと、仕事を教えられることは、少し違います。後輩の指導を任せる前に、そこを確かめておく必要があります。
自分のやり方を言葉にできるか
指導役に必要なのは、自分が普段どうやって仕事を進めているかを、言葉で説明できることです。
Bさんは、報告を結論から話せます。ただ、なぜ結論から話すのか、どうやって結論を決めているのかを聞かれると、うまく答えられません。3年かけて、なんとなく身につけたやり方だからです。
なんとなく身につけたやり方は、横で見せても伝わりにくい。新人に見えるのは、Bさんが報告して、上司がうなずいたという結果だけです。Bさんの頭の中で何が起きていたかは見えません。
上司が確かめる方法は簡単です。本人に、いつもの仕事の進め方を説明してもらいます。
「新しい仕事を受けたら、最初に何をする?」
ここで「まず全体を見て、作業を分けて、期限から逆算して」のように順番が出てくれば、教えられる状態です。「とりあえず手をつけてみる」なら、まだ言葉になっていません。
新人に教えることになる3つ
新人の指導で、仕事の手順と同じくらいよく出てくるのが、次の3つです。
報告の仕方
新人の報告は、たいてい経緯から始まります。指導役は、それを毎日のように聞くことになります。結論から話すように、と言うだけでは直りません。結論、理由、根拠の順に組み立てる、という型を自分で説明できると、新人の報告を一緒に組み立て直せます。
仕事の分け方
新人は、大きな仕事を渡されると固まります。どこから手をつければいいか分からないからです。指導役が、仕事を小さく分けて見せられると、新人は動き出せます。自分がふだん無意識にやっている分け方を、紙に書き出せるかどうかが分かれ目です。
失敗したあとの振り返り
新人は失敗します。そのとき、指導役が「次から気をつけて」で終わらせると、同じ失敗が繰り返されます。何が起きたか、原因はどこか、次に何を変えるか。振り返りの順番を知っている指導役なら、新人と一緒に原因まで降りていけます。
言葉にする手段
この3つは、2年目や3年目の社員が、自分ではある程度できていることが多い部分です。足りないのは、それを言葉にする手段です。
報告の型、仕事の分け方、振り返りの手順には、それぞれ名前と順番があります。一度まとまった形で学んでおくと、自分がなんとなくやっていたことに名前がつきます。名前がつけば、後輩に説明できます。
上司が自分で教えられるなら、それがいちばん早いでしょう。ただ、上司自身も長年の勘で仕事をしていて、うまく説明できないことはよくあります。その場合は、外の研修で学ばせるのも一つの方法です。
準備の時期
指導役に任せる前に何かをするなら、新人が入る前の1〜3月がちょうどいい時期です。
4月に入ってからだと、指導役は自分の仕事と新人の世話で手一杯になります。研修に出る余裕も、自分のやり方を振り返る余裕もありません。
年明けから準備を始めれば、3月までに自分のやり方を一通り言葉にできます。新人が入ってきた初日から、「うちではこうやって報告する」と説明できる状態で迎えられます。
本人への伝え方
最後に、本人への伝え方について。
研修を受けさせるにしても、上司が自分で教えるにしても、指導役を任せる予定であることを先に本人に伝えておきます。「来年の新人の指導をお願いしたい。そのために、自分の仕事の進め方を説明できるようにしておいてほしい」。
目的が分かっていると、本人の学び方が変わります。自分が使えればいい、から、人に説明できるようにしよう、に変わるからです。研修の勧め方については、若手に研修を勧めるときの伝え方に書きました。


