若手に研修を勧めるときの伝え方:「基礎のやり直し」と思わせない

「来月から、この研修に出てもらうから」
上司がそう伝えたとき、2年目の若手の顔が少し曇った。研修の案内には報告の仕方、タスク管理、PDCAと並んでいる。本人からすると、1年目に一度聞いた話です。
「何か問題があるってことですか」
こう聞き返されて、うまく答えられなかった、という上司の話を聞いたことがあります。研修の中身がよくても、送り出すときの一言で、本人の受け止め方は大きく変わります。
受け身で出た研修は残らない
研修は本人がどういう気持ちで出るかで、効果が違います。
「上から言われたから出る」という状態だと、講義は聞き流され、終わったら元の仕事に戻ります。研修の時間は仕事を抜けられる休憩時間のような扱いになることもあります。
逆に、自分に必要だと思って出た研修では、講義の途中から「これ、あの案件で使える」と考え始めます。受講後に仕事が変わるのは、たいていこちらです。
送り出すときの伝え方はどちらになるかを左右する数少ない手段です。
避けたい伝え方
まず、言わないほうがいいことから書きます。
足りないところから話す
「報告が分かりにくいから」「段取りが悪いから」。事実だとしても、これを研修の理由として伝えると、本人は研修を罰のように受け取ります。
足りないところを指摘したいなら、日々の仕事の中で、具体的な場面ごとに伝えるほうがいいでしょう。研修の案内と一緒にすると、両方がうまく伝わりません。
全員出るからと言う
「今年は2年目全員に受けてもらうことにした」。公平に見えますが、本人にとっては自分に関係のない行事になります。出席はしても、自分ごとにはなりにくい伝え方です。
次の役割から伝える
勧めるときは、本人に次に任せたい仕事から話します。
来年の春から、新人の面倒を見てもらおうと思っている。そのときに、自分の仕事の進め方を説明できるようにしておいてほしい。
次の期から、A社の案件を一人で持ってもらいたい。お客様への報告も自分でやることになるから、その準備として受けてほしい。
これなら研修の理由は本人の将来の役割になります。本人からすると、期待されているから受ける研修です。同じ研修でも、出るときの気持ちはまるで違います。
まだ任せる仕事が決まっていなくても構いません。「次のステップに進んでほしいと思っている」と伝えるだけでも、受け止め方は変わります。
研修の前に一度話す
研修が始まる前に、15分でいいので本人と話す時間をとります。
聞くことは1つです。いまの仕事で、困っていることや、うまくいかないと感じていることはあるか。
本人の口から「報告で何度も聞き返されるのがつらい」と出てくれば、研修でその部分を意識して聞くようになります。上司から指摘するより、本人が自分で言ったことのほうが、ずっと残ります。
何も出てこなければ、それでも構いません。研修のあとに、もう一度同じことを聞きます。研修で型を知ったあとだと、自分の困りごとに気づけることがよくあります。
研修のあとの面談を先に決める
本人を研修に送り出すときに、受講後の面談の日もあわせて決めておきます。研修が終わって1〜2週間後がいいと思います。
面談で話すのは、研修で何を持ち帰ったか、それを職場でどう使うか、です。研修によっては、受講者が自分で書いた行動計画が手元に残ります。それがあれば、計画を一緒に見ながら話すのがいちばん早いでしょう。
面談の予定が先に入っていると、本人も「研修のあとに上司に話すことがある」と分かって受講します。聞き方が少し変わるはずです。
上司が変化に気づく
最後に、研修のあとで上司がやることを一つだけ書きます。本人の変化に気づいたら、その場で言葉にすることです。
「今の報告、結論から話してくれたから分かりやすかった」
研修で学んだことを試して、上司がそれに気づいてくれた。この経験が一度あると、本人は次も試します。気づかれないまま終わると、少しずつ元のやり方に戻っていきます。
研修を勧める一言と、研修のあとの一言。この2つで、研修の効果はかなり変わると考えています。2年目の若手が伸び悩む理由については、2年目社員が伸び悩む理由と、上司が打てる手にまとめました。


