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優先順位をつけられない部下に、上司が渡しておく判断の基準

夕方、部下の席に行って「A社の見積、どうなった?」と聞く。返ってきたのは「すみません、今日は問い合わせの対応で手一杯で」。

問い合わせの対応も大事な仕事です。ただ、A社の見積は明日の朝が期限で、取れれば今期でいちばん大きな受注になる案件でした。問い合わせの多くは、明日の返信でも困らないものだった。

部下は一日中、手を止めずに働いていました。来た順に、目の前の仕事を片づけていただけです。優先順位をつけられない部下は、たいていこういう一日を過ごしています。

優先順位がつけられない理由

部下に「優先順位を考えて動いて」と言っても、なかなか変わりません。何を基準に順番を決めればいいのかを、知らないからです。

上司は経験から、どの仕事が会社にとって重いかを知っています。A社の見積が今期の数字を左右することも、問い合わせの返信は半日遅れても大きな問題にならないことも、分かっています。

部下の側には、その情報がありません。見えているのは、どの仕事も誰かから頼まれたもので、どれも早く返したほうがいい、ということだけです。判断の材料がないので、来た順に片づけるか、すぐ終わるものから片づけるしかなくなります。

判断の基準を2つに絞る

部下に渡す基準は、多くしないほうが使われます。まずは2つで十分です。

遅れたときの影響

その仕事が1日遅れたら、何が起きるか。

  • 受注を逃す、お客様の業務が止まる、社内の誰かが待ち続ける
  • 少し気まずいが、謝れば済む
  • 誰も困らない

上の段にあるものほど先にやります。部下は、遅れたときの影響を自分で見積もった経験が少ないので、最初のうちは上司と一緒に考えます。

本当の期限

頼まれたときの「なるべく早く」は、たいてい本当の期限ではありません。

依頼した人に「いつまでにあれば間に合いますか」と聞くだけで、期限ははっきりします。今日中だと思っていた依頼が、実は来週の会議まででよかった、ということはよくあります。期限が分かると、急ぎに見えていた仕事の半分くらいは、急ぎではなくなります。

この2つ、遅れたときの影響と本当の期限で並べ替えると、順番はだいたい決まります。

上司が先に言っておくこと

基準を渡しても、部下がその基準で判断できるかどうかは、上司の指示の出し方にも左右されます。

全部を急ぎにしない

「これも急ぎで」「こっちも今日中に」と、上司が全部を急ぎにしていると、部下は順番をつけようがありません。

新しい仕事を頼むときは、今ある仕事との順番も一緒に伝えます。

この資料、金曜までにお願い。A社の見積のほうが先なので、見積が終わってからで大丈夫。

一言加えるだけで、部下は迷わずに済みます。

やらなくていいことを言う

手が回らない部下に、仕事を減らす権限はありません。減らせるのは上司だけです。

「今週は問い合わせの返信を翌日回しにしていい」「この資料は来週に延ばしていい」。やらなくていいことを上司が決めてあげると、部下は大事な仕事に時間を使えます。

毎朝の10分で順番を確かめる

基準を伝えたあとは、部下が自分で順番をつけられるようになるまで、しばらく毎朝確かめます。

時間は10分で足ります。部下に、今日やることを書き出して、順番をつけて見せてもらいます。

  • 今日やること(上から順に)
  • 今日はやらないと決めたこと
  • 判断に迷っていること

上司は、順番が違うと思ったところだけ理由を添えて直します。「この見積は今期の数字に響くから、問い合わせより先に」。理由まで聞くと、部下は次から自分で同じ判断ができるようになります。

2〜3週間続けて、上司が直すところがほとんどなくなったら、毎朝の確認は週に1回に減らして構いません。

途中で割り込みが入ったとき

朝に順番を決めても、昼には新しい依頼が入ります。優先順位をつけられない部下がいちばん崩れやすいのは、ここです。

割り込みが入ったら、すぐに手をつける前に、朝の一覧のどこに入るかを考えてもらいます。今やっている仕事より上なら切り替える。下なら、一覧の該当する場所に書き足して、今の仕事を続ける。

判断に迷ったら、その場で上司に聞いていい、と伝えておきます。「A社の見積の途中で、B社から至急の電話がありました。どちらを先にしますか」。この質問が出るようになれば、部下はもう、来た順に片づけるだけの状態から抜け出しかけています。

分けてから並べる

優先順位をつけるには、その前に仕事が分かれている必要があります。「提案書を作る」のような大きなかたまりのままだと、どこから手をつけるか以前に、全体でどれくらいかかるのかが見えません。

仕事を作業に分け、それぞれの影響と期限を見て並べる。この2つは、仕事の進め方の基本の型として、まとめて身につけるのが早いと思います。社内で教える時間がなければ、外の研修で学ばせる方法もあります。仕事の分け方そのものは、仕事が終わらない人のタスク分解のやり方で紹介しています。

人選が固まる前の相談から、受け付けています。

次回は1月12日(火)開講、申込期限は1月11日(月)です。相談の時点では、申し込みは確定しません。担当から2営業日以内にメールで返信し、お見積りもお出しできます。

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