社長が若手に仕事を任せられないとき、渡す前に決めること

「この提案書、今回は任せるから」
そう言って若手に渡したものの、締め切りの2日前になって気になり始める。様子を聞くと、まだ半分もできていない。中身を見ると、方向が違う。結局、社長が週末に自分で作り直した。
次の提案書は、最初から自分で作ることにした。任せるより早いからです。
社長が若手に仕事を任せられなくなる流れは、だいたいこうです。一度うまくいかなかった経験が、次に任せない理由になります。
任せられない仕事の共通点
任せてうまくいかなかった仕事を振り返ると、渡すときに決めていなかったことがあるはずです。
- 何ができれば完成なのか
- いつ、どこまで進んでいればいいのか
- 迷ったとき、誰に何を聞けばいいのか
社長の頭の中には、なんとなくの完成形があります。いつまでに何をすればいいかも、経験で分かっています。ただ、それを若手に伝えていません。伝えなくても分かるだろう、と思っているからです。
若手の側からすると、完成形も途中の目安も分からないまま、手探りで進めることになります。方向がずれても気づけません。
渡すときに決めること
完成形を1行で伝える
「提案書を作って」だけでは、若手は何を作ればいいか分かりません。
「来週の打ち合わせで、先方の部長に予算を出してもらうための提案書。A4で5枚くらい」
誰が読むのか、読んだ人に何をしてもらいたいのか、どのくらいの量か。この3つを1行にまとめて伝えるだけで、若手の迷いはかなり減ります。
途中で見る日を決める
締め切りだけを伝えると、若手は締め切りに間に合うように進めます。社長が途中を見るのは、たいてい不安になったときです。
渡すときに、途中で見る日を決めておきます。締め切りの半分くらいの時点で、骨組みだけを見せてもらう。中身が埋まっていなくても、構成と方向だけ確かめられれば十分です。
ここで方向が合っていれば、あとは任せます。ずれていれば、その時点で直します。締め切り直前に全部作り直すより、ずっと手間がかかりません。
聞いていいことを決める
若手は、どこまで社長に聞いていいか迷っています。聞きすぎると、自分で考えていないと思われそうだからです。
「お客様の事情で分からないことは、いつでも聞いて。構成をどうするかは、まず自分で考えて途中で見せて」
聞いていいことと、自分で考えてほしいことを分けて伝えておくと、若手は迷わず動けます。
若手の側に必要なこと
渡し方を変えても、若手の側に仕事の基本が身についていないと、うまくいかないことがあります。
完成形を伝えても、そこから逆算して仕事を分けられない。途中で見せる日が決まっていても、何をどこまで進めればいいか見当がつかない。報告に来ても、経緯から話し始めて要点が伝わらない。
この部分は、仕事の渡し方では補えません。仕事を分ける、期限から逆算する、結論から報告する。こうした型を、若手自身が持っている必要があります。社長が教えるのが難しければ、外の研修で学ばせる方法もあります。
任せる仕事の順番
最後に、任せる仕事の選び方について。
最初に任せるのは、失敗しても取り返しがつく仕事にします。社内向けの資料や、付き合いの長いお客様への定期的な報告などです。大事な商談の提案書を最初に任せると、うまくいかなかったときに社長も若手も引きずります。
小さな仕事を任せて、途中で見て、うまくいったらその場で伝える。これを何度か繰り返すうちに、任せられる仕事の大きさが少しずつ広がっていきます。社長の時間の使い方については、採用しても社長の仕事が減らない理由と、最初に手放すことも参考にしてください。


