同じ注意を何度もしてしまう社長へ:注意が若手に残らない理由

「この前も言ったよね」
口に出した瞬間、社長は自分でもうんざりしている。先週も、その前の週も、同じことを言った。若手は「すみません、気をつけます」と頭を下げる。そして来週、また同じことが起きる。
若手にやる気がないわけではないようです。注意されたときは本当に反省しているし、次は気をつけようとも思っている。それでも同じことが起きるのは、注意の仕方のほうに原因があることが多いと考えています。
注意が残らない理由
何を変えればいいか分からない
「もっとちゃんと確認して」「段取りよくやって」
社長はこれで十分に伝わっているつもりです。若手からすると、何をどう変えればいいのかが分かりません。ちゃんと確認したつもりで、今回もミスが出たからです。
注意が残らないのは、若手が覚えていないからというより、覚えても次に何をすればいいか分からないからです。
その場の問題だけを直している
ミスが起きると、社長はそのミスを直させます。見積書の金額が間違っていたら、金額を直させる。それで目の前の問題は片づきます。
ただ、なぜ金額を間違えたのかまでは話しません。前の見積書をコピーして、単価を変え忘れたのか。計算は合っていたのに、転記で間違えたのか。原因が分からないまま直すと、次は別の見積書で、同じ原因のミスが起きます。
注意する人によって言うことが違う
社員が増えてくると、社長以外の先輩も若手を注意するようになります。社長は「結論から話せ」と言い、先輩は「経緯をちゃんと説明して」と言う。若手はどちらに合わせればいいか分からず、その場ごとに相手に合わせます。結果として、どちらのやり方も身につきません。
注意を残すための伝え方
次にやることを1つだけ伝える
注意するときは、次に何をすればいいかを具体的に1つ伝えます。
「見積書を出す前に、単価の列だけもう一度、元の資料と見比べて」
「ちゃんと確認して」と言うより、ずっと残ります。次に同じ場面が来たとき、若手は何をすればいいか分かっているからです。
原因を一緒に探す
同じミスが2回起きたら、その場で直させる前に、原因を一緒に探します。
何が起きたのか。どの時点で間違えたのか。なぜその時点で気づけなかったのか。5分ほど話すだけで、たいてい原因が見つかります。原因が分かれば、手の打ち方も決まります。単価の変え忘れなら、コピーして使うのをやめて、毎回元の資料から転記する。そういう具体的な手が出てきます。
起きたこと(症状)と、その原因を分けて考える。これは問題解決の基本の型です。若手がこの型を持っていれば、社長が付き合わなくても、自分で原因を探せるようになります。
社内で言うことをそろえる
社長と先輩で言うことが違うなら、先にそろえます。報告は結論から、と決めたら、社長も先輩も同じことを言う。決め事が1つあるだけで、若手は迷わなくなります。
そろえるときに役に立つのが、型の名前です。「結論、理由、根拠の順で」と名前が決まっていれば、誰が注意しても同じ言葉になります。
注意する回数を減らす
最終的に目指したいのは、注意する回数そのものを減らすことです。
そのためには、注意される前の段階で、若手が仕事の基本の型を持っている必要があります。報告の組み立て方、仕事の分け方、失敗したときの振り返り方。型があれば、若手は自分で気づいて直せます。社長は型を使えていなかったときに一言伝えるだけで済みます。
同じ注意を繰り返しているなら、それは注意の回数を増やすより、型を一度教えるほうが早いという合図かもしれません。社長のやり方を言葉にする方法は、社長の「見て覚えて」が若手に伝わらない理由に書きました。


