研修のあと、社長に効果を報告するときにまとめること

研修が終わった翌週、廊下で社長とすれ違った。「この前の研修、どうだった?」
「受講者の満足度は高かったです」と答えて、それで会話が終わった。そのあと、次の研修の稟議はなかなか通らなかった。
研修を任された担当者から、こんな話を聞いたことがあります。社長が知りたかったのは、受講者が楽しかったかどうかより、職場で何かが変わったかどうかでした。
満足度だけでは足りない理由
受講後アンケートの満足度は研修の出来を測るには役に立ちます。講師の話が分かりやすかったか、内容が仕事に関係していたか。研修会社を選び直すときの材料にもなります。
ただ、決裁した人が知りたいのは別のことです。お金と時間を出した結果、若手の仕事のどこが変わったのか。満足度が5点満点で4.8でも、職場の様子が同じなら、社長の評価は上がりません。
報告は職場で起きた変化を中心にまとめます。満足度はその補足として添える程度で十分です。
研修の前に決めておくこと
効果の報告は、研修が終わってから考えると間に合いません。比べる元がないからです。
研修の前に、対象者の上司と一緒に、いまの困りごとを具体的に書き出しておきます。
営業部のAさん:週報が経緯から書かれていて、結論が最後の段落にある。部長が毎週、要点を口頭で聞き直している。
1人につき1つか2つで構いません。受講者本人に見せる必要もありません。これが研修のあとに比べる元になります。
時間がなければ、研修直前の週報や報告メールを何通か保存しておくだけでも違います。受講後のものと並べれば、変化があったかどうかは一目で分かります。
受講後1か月で聞くこと
研修が終わった直後に効果を測ろうとしても、まだ何も変わっていないことがほとんどです。研修で聞いた型を、職場で何度か試してからでないと、変化は表に出ません。
報告をまとめるのは、受講後1か月くらいがちょうどいいと思います。そのとき、対象者の上司に次の3つを聞きます。
- 研修前に書き出した困りごとは、どうなったか
- 本人の仕事のやり方で、変わったと感じるところはあるか
- まだ変わっていないところはどこか
3つめは聞き忘れやすいのですが、大事です。全部うまくいったという報告は、社長からすると信じにくいものです。変わっていないところも書いてあると、報告全体が信用されます。
報告書の形
社長への報告はA4で1枚に収めます。項目はこれだけです。
- 結論:研修前の困りごとのうち、何が変わったか(一文で)
- 受講者ごとの変化:上司から聞いた内容を、1人2〜3行で
- まだ残っている課題:次に何をするか
- 参考:受講後アンケートの結果、費用
例えば、結論の一文はこう書きます。
受講した5名のうち4名は、週報を結論から書くようになり、部長の聞き直しがほぼなくなった。残る1名は、引き続き上司が週報の書き方を見ている。
結論が一文で書けないときは、まだ報告する時期ではないのかもしれません。もう2週間待ってから、上司に聞き直してください。
受講者の手元に残るものを使う
研修によっては、受講者が自分で書いた行動計画や、修了証が手元に残ります。これも報告の材料になります。
行動計画があれば、受講後の上司との面談で、その計画をもとに話してもらいます。「研修で何を決めて、1か月でどこまでできたか」を上司が聞けば、それがそのまま報告の中身になります。担当者が受講者一人ひとりに聞いて回る手間も省けます。
次の稟議につなげる
効果の報告は次の研修の稟議の土台になります。
報告書の最後の項目、まだ残っている課題に、次に何をしたいかを書いておきます。「来期は、今回対象にしなかった中途入社の2名にも受けさせたい」。社長がそれを読んで反対しなければ、次の稟議はかなり通りやすくなります。
研修を一度きりのイベントで終わらせるか、毎年の仕組みにできるかは、この報告で決まると言っても大げさではないと思います。稟議書の書き方は社員研修の稟議書の書き方にまとめています。


