一人人事の研修企画:兼任の担当者が1年目にやること、やらないこと

人事は自分ひとり。給与計算と採用と労務の合間に、社長から「今年は研修もちゃんとやろう」と言われる。
そこで最初に「研修体系図」を検索する、という話をよく聞きます。階層別、職種別、テーマ別のマスがきれいに並んだ表を見て、うちもこれを作らなければと思い、手が止まる。
一人人事の1年目なら、体系図は作らなくていいと考えています。やることは、1つのテーマで1回の研修を最後までやり切ることだけです。
体系図を後回しにする理由
体系図は、研修が何本も走っている会社が、重なりや抜けを確かめるための表です。まだ1本も走っていない会社で作っても、埋まらないマスが並ぶだけになります。
それに、体系図を作るには各部署に「どんな人材が要るか」を聞いて回る必要があります。兼任の担当者がそれをやると、ヒアリングだけで半年が終わります。社長に見せられるのは表だけで、受講した社員はまだ1人もいない。これがいちばん避けたい状態です。
1年目は1テーマに絞る
テーマは社内でいま実際に困っていることから1つ選びます。
社長や部長が最近こぼした愚痴を思い出すと、たいてい見つかります。「若手の報告が要領を得ない」「2年目が指示待ちのままだ」。こういう具体的な一言があるテーマは、研修のあとに変わったかどうかを確かめやすい。
逆に「主体性」「意識改革」のような言葉しか出てこないテーマは、1年目には向きません。何をもって変わったとするかを、担当者ひとりで決めきれないからです。
企画書は1枚でいい
社長に見せる企画書はA4で1枚あれば足ります。書くのは次の5つです。
- 困りごと:誰の、どんな場面で、何が起きているか
- 対象者:何年目の誰を、何人
- 時期:いつからいつまで、週に何時間抜けるか
- 費用:総額と1名あたり
- 終わったあとに確かめること:誰に、何を聞くか
最後の項目を書き忘れる人が多いと聞きます。ここを先に決めておくと、研修のあとの報告がほとんど書けた状態から始められます。
開講日から逆算した段取り
兼任だと、研修の準備は「手が空いたらやる」になりがちです。それだと、気づいたら申込期限が過ぎています。開講日を先に決めて、そこから逆算します。
- 3か月前:社長や部長に困りごとを聞き、テーマと対象者を決める
- 2か月前:研修の候補を2〜3本比べて、見積を取る
- 6週間前:稟議を出す
- 1か月前:申し込む。受講者本人と、その上司に日程を伝える
- 終了の1か月後:受講者と上司に話を聞いて、社長に報告する
稟議に2週間見ているのは、差し戻しを一度は覚悟しておくためです。一発で通れば、そのぶん受講者への連絡を早められます。
自分でやらない作業
一人人事が研修を自分で組もうとすると、時間がかかるのは講師探しと教材づくりです。社内に教えられる人がいても、その人の本業の時間を何十時間も借りることになります。
仕事の基本のように、どの会社でも中身が大きく変わらないテーマなら、外の研修で学ばせる方法もあります。担当者の仕事は選ぶことと、社内を通すことと、終わったあとに確かめることの3つに減ります。社内でしか教えられない自社の商品や業務の知識は、現場のOJTに残しておけばいい。
2年目に足すもの
1年目の研修が終わって報告まで済んだら、2年目に考えることが見えてきます。同じテーマを別の部署に広げるか、次の困りごとに移るか。どちらにするかは、1年目の報告で現場が何と言ったかで決めれば十分です。
体系図を作るなら、このあたりからでも遅くありません。1本やり切ったあとなら、どのマスが本当に要るのか、担当者自身に判断がつくようになっています。
1年目の研修で誰を出すかに迷ったら、若手研修に誰を出すか:対象者の選び方と人数の決め方も読んでみてください。


